rpa-etl
※本トピックは、withコロナの2020年8月に公開しました。
恒例の質問からで恐れ入ります。
皆さんは、日本の一人あたりGDPが世界何位ぐらいか、ご存知でしょうか?
(仕事のできる人はここでググる。ただし、ロボットに仕事を奪われそうな人は一発で欲しい答えを探せない。)
GDP総額が、中国に抜かれて2位から3位にランクダウンしたことは多くの方がご存知だと思いますが、一人あたりになった途端に認知されていないであろうことが残念でなりません。
国の国内総生産順リスト (一人当り為替レート) - Wikipedia
いつもお世話になっているWikipediaに掲載されている直近のデータ(2018年・IMF:国際通貨基金)を見ると、日本は24位です。世界銀行によると25位、国連では27位となっています。
GDP総額では3位なのに、≒1億2千万人で割ると24~27位になってしまうのはなぜでしょう?
データ分析のアプローチで最初に読み取れることは、1億2千万人という人口は世界11位ですからそこそこ多い方であるということが一つ、もう一つは、上位にいる20~24位の国は日本より生産性が高いということかと思います。
今回のテーマは RPA:Robotic Process Automation ですが、その目的を「GDPで言われるような付加価値生産性を高めるために利用するITプロダクト」と捉えて、導入失敗の予防策を考えてみましょう。
そもそもで恐縮ですが、日本のビジネス現場で誤って利用されていそうな“生産性”という言葉について、整理しておきたいと思います。
日本の労働生産性は、製造業の生産現場で高く、非製造業やホワイトカラーでは低いという認識が広まっていますが、本当なんでしょうか?
それは令和の現在でも、有効なのでしょうか?
そもそも労働生産性とは、企業であれば従業員一人あたり・1時間あたりの売上もしくは利益として測られるものと理解しています。
例えば、従業員100人の製造業で年商100億円、一人あたりの年間総労働時間が2,000時間だとすると、100億円÷100人÷2,000時間=50,000円/時間/人であり、その100人の中で生産現場とホワイトカラーとで差が生じるという意味がわからないのは私だけでしょうか。
確かに、産業革命の歴史を振り返ってみればそれは生産ラインで起きていたことであり、ホワイトカラーのデスクワークに対しては、その発想自体がない企業が少なくないかもしれませんが、現代の「情報革命」や「デジタル革命(DX:デジタルトランスフォーメーション)」と呼ばれるものなどは、まさしく第四次産業革命:Industry 4.0 の派生形であることがお分かりいただけるでしょう。
第一次産業革命 | 軽工業の機械化 | 石炭時代:蒸気機関、織物の産業化 |
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第二次産業革命 | 重工業の機械化・大量生産化 | 石油・電力時代:鉄鋼、化学、組み立て(兵器)の産業化 |
第三次産業革命 | 機械による単純作業の自動化 | 日本の高度成長時代:組み立て(電機・自動車)の産業化 |
第四次産業革命 | 機械による知的活動の自動化 | 21世紀の課題:AI・ビッグデータ、スマートファクトリー、IoT/IoH |
一方で、先ほどの一人あたりGDPランキングをご覧いただくと、トップに君臨しているのはルクセンブルグやリヒテンシュタインというテレビの旅行番組などでも滅多にお目にかかることのないヨーロッパの小国:金融国家であることがわかります。モノづくり国家でも農業大国でもなく、第三次産業に特化した国々です。
軸を変えれば、装置産業でも労働集約型産業でもなく、知識集約型産業に特化した国々と見ることができるでしょう。
ならば、G7:先進国首脳会議のメンバーはと見てみると、アメリカ・ドイツ・カナダ・フランス・イギリスの5ヶ国から少し離れて日本、その背後には最下位のイタリアが迫っています。
モノづくり≒第二次産業(≒装置産業)を主戦場に定めた結果として成し遂げられた高度成長、奇跡の復興と教えられ育った世代にとっては、何とも嘆かわしいランキングです。
ただ、こう見るとGDPは生産“量”ではなく生産性を見ていることがわかり、それは作業効率ではなく付加価値≒収益や所得の生産性を表していることがお分かりいただけるでしょう。
GAFAをはじめとする欧米のグローバル企業が2桁の営業利益率が当たり前であるのに対し、日本のグローバル製造業の営業利益率は総じて1桁台に留まっていると言われています。
確かに、バブルの頃に売れまくった高級輸入車市場でも「海外工場で月曜日(ブルー・マンデー)に出荷された車は買うな」と言われていたぐらい、日本の製造現場における品質保証能力は極限まで高められていると自負してよいと思います。しかしながら、効率よく生産された製品・サービスが消費者・需要家の購買によって収益≒付加価値を生み出してくれなければ、価値として算定されないことは理解できます。
言い換えれば、作業効率と品質が高くてどんどん製品を出荷できたとしても、需要がなくて在庫が積み上がるだけなら企業は倒産してしまいます。
値引きして何とか売りさばいたとしても、収益が残らなければ賞与はおろか給与を支払うこともできませんし、将来への投資など先のまた先の話しとなってしまうのです。
そこでまず自問していただきたいのが、「RPAを導入すると付加価値生産性が向上するのか?」です。
そんな効率化投資を評価する時、機械化・自動化したことで入力・転記ミスが防止でき、データの精度があがるなら価値があることは確かでしょうから、対象作業を選定する場合は取扱いデータの重要度の高さが一つの基準になるでしょう。
RPAの導入目的をはっきりさせる意味でも、あいまいで誤認されやすい“生産性”という言葉ではなく、あくまでもデスクワークの作業効率にフォーカスした方が、無駄な期待を排除した上で、きちんとROI:投資対効果を評価できるのだと考えます。
RPAのように私たちのデスクワークを効率化・自動化してくれるツールの導入・活用にあたっては、ぜひこのような“ROI:投資対効果”の観点で、対象部門や作業に優先順位を設定してみていただくとよいでしょう。
私たちビジネスパーソンの存在意義を考える時、個々人の作業効率を高めることは手段であって目的ではなく、所属組織の付加価値≒収益“額”に代表される効果や成果が拡大することに貢献できるか否かにかかっていると言っても過言ではないはずです。
そんな観点から、「Excel定型作業のデータベース化」について考察した下記トピックも、ご参考としていただければ幸いです。
ExcelマクロやVBAのスキルを高めても組織で評価されないならデータベース化すべき理由
・Excel集計/みなし時給@2,000円×25分/日×10人×20日間≒月16万円
・情報システム化/構築費一式500万円÷5年・60ヶ月償却≒月8万円
この差額≒月8万円の人件費には多少の増減はあるものの、単純なシステム化のROI(Return on Investment :費用対効果)は200%、今後同様のExcelルーティンが増えた場合も、属人化Excelに頼ることなくこのシステムでカバーできるので効果は高まる一方という結論にして判断を仰いだわけです。
このトピックでは、日次定型のExcel更新作業をデータベース化することで、引継ぎの難しいマクロやVBA≒悪いExcel・属人化Excelに依存しない状態を構築できました。今ならRPAを使うことで「非定型だけどそこそこの頻度で発生する、手動でなければ難しいデスクトップ作業」もカバーできるかもしれません。
ただ、その前に私たちが提案しているのが「ETL:データ連携基盤」の構築です。
そもそも、情報システムに求められるのは「組織内外にある有益な情報の記録・抽出・視覚化」のはずですから、その情報を入力・更新する作業自体をできるだけ機械化・自動化≒ロボット化することは手段の一つとして有効であると言えます。
また、働き方改革が提唱されたことで同一労働・同一賃金による格差解消にもフォーカスがあたりましたが、数多あるデスクワークにおいても技能・スキルの難易度を初級・中級・上級のように仕分けした時、少なくとも初級レベルの作業は可能な限り機械化・自動化しようという動きにつながってくるのは必然とも言えるでしょう。
これは、先のトピック「ERP再構築」の中でお勧めしたプロジェクトの成果物、「ロールマップ」と「スキルマップ」に紐づくものとお考え下さい。
親プロジェクトの「ビジネストランスフォーメーション」からは、業務分析の結果として導き出されたビジネスプロセスの before/after と共に「JD:Job Description(ジョブディスクリプション:職務記述書)」をアウトプットしてもらいましょう。
(中略)
なお、有効なJDを作るために忘れてならないことは、対象者全員が網羅された「スキル(技能)マップ」と、組織ごとに必要とされる職務一覧「ロール(役割)マップ」がセットで必要になることです。
RPAに担ってもらう作業にあたりがついたところまではよいのですが、そこで改めて浮き彫りになってしまう問題は、個々の情報システムに入力・更新されるデータが有機的に連携されておらず、肝心な情報が抽出・視覚化できないことです。
withコロナの今、私たちが目にしているのがまさにこの状態ではないでしょうか?
メディアを通じて日々公表される感染者数・陽性者数だけが独り歩きし、その裏にある検査母数や性別・年代別のような基本属性、重症者数や空きベッド数、さらには陽性率・重症化率などなど、市場調査などでは当たり前に行われているデータ分析に必要な情報が分断され、誰が見ても一目で現状を理解できるような視覚化は放置されていると言っても過言ではないでしょう。
かといって、「医療機関や保健所、自治体や省庁のシステムが異なるから一元管理できない」などと言っていては、時間もコストも莫大でありながら、時代の変化に柔軟対応できない巨大なシステムができあがるだけで、完成した頃には使えない情報システムとして負の遺産に成り下がってしまうことは火を見るより明らかです。
例えば医療現場では、カルテやレセプトなどでも医師・看護師と医療事務という職務ごとに記録・参照すべきデータが異なるはずですし、それらすべての医療情報システムを巨大システムとして一本化することは全体最適にあらず、職務:ジョブごとに個別最適された使いやすい情報システム≒ユーザーインターフェースがまずあって、その裏で必要な情報を抽出・連携できるデータ連携基盤が整備されていることが合理的な選択肢と言えるのではないでしょうか?
毎々お世話になっているGoogleトレンドを見ると、ここ2~3年で盛り上がった“RPA”が1年前あたりから下降トレンドを見せる一方で、“データ連携”が2000年代中盤にあった山を越えて伸びてきていることがわかります。
データ連携, RPA - 調べる - Google トレンド
以前のトピックに掲載した「ETLツールと周辺ツールの比較表」の中でも、ETLツールとRPAの違い・選び方について考察しましたが、“ETLツールと組み合わせることで最も効果が高まるのがRPA”と結論付けていますので、ぜひご参考としてください。
RPAがそのポテンシャルを最大限に発揮できるよう、サーバーサイドのデータ連携基盤としてETLツールを稼動させておき、RPAがデスクトップ作業の自動化に専念できる状態を作っておくことが、全体最適にかなう要件とご理解いただければ幸甚の限りです。
特に、ETLツールと比較されることの多いEAIツールのように、接続先のアプリケーションごとにアダプター/コネクターと呼ばれるオプション導入が必要になる場合、そのコストは1オプションあたり数十万円要することが多いようです。(接続する業務アプリケーション=アダプターの数が増えると、EAIツール本体よりオプション価格の方が高額になってしまうこともありえますね。)
それに対し、データ処理性能を優先するETLツールを補完するRPAツールという組み合わせであれば、1ライセンス:100万円程度のRPAツールでアプリケーションのフロントエンドからデータの授受を行うことができるようになるでしょうから、いつまで使い続けるかわからないアプリケーションごとにアダプター/コネクターのオプションを導入・廃棄するライフサイクルと比べれば、データ連携の自動化に要する TCO:Total Cost of Ownership を飛躍的に向上させることも可能になるでしょう。
データ連携基盤が整備されたらいよいよRPAの導入ですが、一つ注意が必要です。
ツール導入で陥りやすい誤りの一つが、「ググっただけの浅い知識で、いきなりベンダーにオファーしてしまい、狭い観測範囲の中で妥協≒選定する」ことでしょう。
そこはグッと我慢して、後になってRFP:Request For Proposal(提案依頼)の冒頭で示されることになるであろう「導入の背景・目的」について、充分な議論を経ておかれることをお勧めします。
実際の選定プロセスの前半はこのような流れで進められるかと思いますが、「ググっただけの浅い知識」では見つからなかった製品・サービスの中に、理想像に近いものがあればこれほど嬉しいことはないでしょう。
例えば、私が考える理想のRPAとは、
適宜提案してくれるものです。
その記録範囲はローカル作業に留まらず、
というものです。
さらに、
も可能になるはずでしょうから、
このような形で理想像を明文化しておくと、見方によっては、BPM:Business Process Management や WFM:Workforce Management と呼ばれるツールにも同様のものがあるかもしれませんから、RFPの配布先にバリエーションが生まれます。
あるいは、「こんな機能の実現にはAIを組み込まないといけないが、一企業だけでは学習量が足りないから機能しないだろう。」と言われるかもしれません。
それでも、RFPを見てコンペにエントリーしてくれたベンダーの中に、このような理想像と近しい製品ビジョンやロードマップを持っている企業があれば、3年後・5年後のバージョンアップに対する期待度を、比較項目に加えることができるようになるのではないでしょうか。
AIやRPAのような機械化・自動化ツールを導入する時に、もし障壁が生まれるとしたら「仕事の効率化と言いながら人員の合理化をやろうとしているのではないか?」という疑心暗鬼です。
こればかりは経営陣の意思によるものでしょうから、導入主体となる1部門では何ともコメントのしようがないはずですが、前述の理想像などを含めた導入の目的は誤解を生まないようにフォーカスを定めて開示しておきましょう。
データ更新作業の効率と精度を高め、付加価値向上のために必要な時間的余裕を生み出す
私が導入の目的を記載するとしたらこのような一文にするでしょうか。
ただ、御社の人事考課・評価基準の中に下記のような「評価されない人」が例示されていれば、疑心暗鬼になった方々に対する回答として「それ以上でも以下でもない」ことを示していただくのがよいかもしれません。
AIやRPAに対して疑心暗鬼になる以前の問題として、このような姿勢・態度が顕著な人は、できるだけ仕事で絡みたくないと思われるのではないでしょうか?
この「評価されない人」はかつての所属先で明示されていたものを要約したものですが、求人から人事考課までカバーした全従業員共通となる負の評価基準でした。
純然たる日系企業でしたが、ビジネスモデルが米国発祥だったこともあって組織運営はグローバル・スタンダードに依拠しているところが多分にありました。
まず、多言語・多民族なダイバーシティ組織でも通用する価値判断の基準がミッション・ビジョン・ポリシーとして公言されていて、ポリシー(行動指針)に紐づく人材管理のKSA(Knowledge、Skill、Attitude)に落とし込まれていたものです。
このKSAの中で、AIやRPAにインストールすることが難しい概念の一つがAttitude(仕事と向き合う姿勢)でしょうから、RPAの導入効果を最大化するためにも、「仕事のできる人:仕事を改善・改革しようとする人」に先行事例となってもらうことで、導入の目的を正しく示してくれるモデルケースとなるのでしょう。
2016年8月には、厚生労働省の懇談会によるレポートが公表されていますので、参考になりそうなところを引用させていただきます。
「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会について |厚生労働省
人間の仕事としては人々のニーズを捉えるサービス開発、商品開発といったところがメインになり、それをロボットやAI を使って提供するといった企業の形態が多くなるのではないかと考えられる。
このレポートにある「時間や空間にしばられない働き方」は、2035年を待たずともwithコロナによって2020年に実現されようとしています。そんなテーマについて想像を膨らませてみると、週休二日制といった労働習慣は2035年になるとなくなっているように思えてきます。
いずれにしても、2035年になってもExcel集計・更新に代表されるデスクトップ作業を続けていたいという人は別として、「今よりもっとみんなが楽して稼ぐ」働き方ができるよう、常に改善・改革できる人間でありたいと思います。
ジョブ型雇用の浸透なども背景にして「早期退職募集!」のようなニュースを見聞きしても驚かなくなってしまいましたが、「自分の仕事もAI・RPAに奪われてしまうのではないか」と疑心暗鬼になっている人々にとっては他人事ではないでしょう。
そのような心理的障壁がある上に、「実際に機械化・自動化できるデスクトップ作業はそんなになかったぞ」「労働生産性なんて全然向上しないじゃないか」のような定性・定量のエビデンスが突きつけられては、導入推進部門はたまったものではないでしょう。
筆者が漏れ聞いたところによると、RPAの導入効果を享受できている組織というのは、情報システム部門のシステム管理者からパイロット導入しているケースが少なくないようです。
後付けでもよくよく考えてみれば「そりゃそうだ」というRPA導入の成功要件のようなものを列挙してみます。
いかがでしょうか?
前述したETLツールしかり、ビジネス現場のエンドユーザーにとってみればハードルの高いツール導入も、システム管理者にとってはさほど高いハードルではないはずです。
さらに、そもそもの「日次定型タスク」を持っていない人材にとってみれば、RPAツールなどは無用の長物にしかならない可能性が高いのではないでしょうか?
組織の労働生産性(付加価値生産性)と作業効率とを混同してしまい、業績向上にはほぼインパクトしないであろう作業効率にフォーカスすることがRPA導入失敗の入口だとしましょう。
さらに、日本が誇る“モノづくり”の基本のキで考えれば、標準化~機械化~自動化というカイゼン・変革のプロセスというのは、まず最初の「標準化」が起点になるのでしょうから、そもそも標準化されていないものを機械化・自動化しようとするのはムリ・ムダ・ムラを拡げるだけであることも注意したいところです。
ITツール導入に共通するであろう背景として、必要な時に・必要な人の・必要な作業を代替してあげられるものと捉えれば、RPA導入の第一歩:パイロットはシステム管理タスクを対象にしてみて、プロトタイピングなアプローチでクイック&スモールスタートさせて、導入効果の実績をスピーディに重ねていくのがよいのではないでしょうか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
最後に、データ連携基盤とRPAを組み合わせた事例をご紹介しますので、ぜひご参考としてください。
政府も新型コロナ対策にRPAやAIの活用を推進するとして、UiPathと協定を結んだ。コロナ禍での企業のデジタルシフトを共同で支援する考えだ。
つまり、この感染症流行下では幅広い業種で働き方の変革を余儀なくされ、その方向はテレワークシステムや、RPAなど自動化ソリューションを用いたデジタルシフトへ向いている。
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の導入コンサルティングやサポートを手がけるロボフィスは、NTTデータと共同でRPAユーザー3000社の動向を調査した。
これによるとNTTデータのRPAユーザーが、2018年度末の1000社から2019年度末の3000社へと拡大する中で、特に300人未満の企業の増加が著しいことが分かった。2019年度末時点で従業員300人未満の企業が44%を占めている。
先に日本企業での採用が進んだと書いたが、「RPA=ソフトウェアロボットがルールベースのPC作業を代理で行う」という狭義のRPAのイメージが定着してしまったため、現在でも局所的/対症療法的なデジタル化にとどまっているRPA事例が多い。
UiPathは、こうした狭義のRPAではなく、既存のシステムも生かしながらRPA×AIを基軸に自動化を進め、従来の業務のリプレースにとどまらない、企業の可能性を最大限に引き出す「実効的な次世代の業務」を作り出すことを目指している。具体的にはハイパーオートメーションを「発見」「開発」「管理」「実効」「協働」「測定」という6つのフェーズに分類し、これに沿ったRPA製品を提供している(図1)。
上田:D要件として「データ連携・共有」「クラウド技術の活用」「DX認定の取得」の3つ、X要件では「全社の意思決定に基づくものであること」「一定以上の生産性向上が見込まれること」の2つを全て満たす必要がありますから、DXに全社的に取り組んでいる企業のみが対象となる税制だと思います。4月時点では計画申請書の内容が公開されておらず、詳細が明らかになるのは5月以降ですが、過去の税制から考えると、比較的いろいろな項目を記載することになるでしょう。申請書作成にあたっての最初のハードルは、D要件の1つであるDX認定取得だと考えています。すでに取得している企業は別として、これからの企業にとってはこの認定取得が必須です。
執筆者情報:
ユニリタ Waha! Transformerチーム
株式会社ユニリタ ITイノベーション部
PM・SEに限らず多様な経験・知見を持ったメンバーが、「データ活用」という情報システム部門の一丁目一番地でお役に立つべく集められました。
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