Excelで行われてきた小売先企業ごとの損益管理を効率的に実現|カンロ株式会社様
~データ分析に向けた情報の収集や加工に欠かせないWaha! Transformer~
創業から百余年、「糖と歩む企業」をCI(コーポレート・アイデンティティ)に据え、「カンロ飴」や「金のミルクキャンディ」「健康のど飴」「ピュレグミ」などキャンディを中心に消費者に愛される商品づくりに取り組んでいるカンロ株式会社は、2016年に掲げた中期経営計画の遂行に向けて、利益志向の営業活動への転換を図っています。そのなかで、小売先ごとの損益を可視化しながら販売コストや利益の見える化を実現するためのプロジェクトに取り組んでおり、そのために欠かせないデータ抽出や加工、変換処理のプロセスで活躍しているのが、ユニリタが提供するETLツール「Waha! Transformer」です。
導入メリット
- 小売先ごとの損益の可視化を実現
- Excelで手作業していた集計作業を自動化
目次
営業の見える化プロジェクトが始動
業務改革推進室長
兼 経営企画本部 経営企画部
横山 高之氏
現在、カンロ株式会社は2016年に策定した中期経営計画「New KANRO2021」を推進しており、2021年には品質やブランド力、売上・利益などあらゆる面でキャンディ業界NO.1企業となるべくさまざまな活動に取り組んでいます。また2019年より開発本部を改編しマーケティング本部を新設。ブランドを基軸とした経営を積極的に推進しており、ブランド価値向上による持続的な成長の実現を目指しています。
中期経営計画では、売上拡大戦略とともに経営基盤の強化が施策の両輪として示されていますが、目標達成に向けて各本部がそれぞれの具体策を計画・実行し、遂行しています。施策の1つにあげられるのが、営業本部が設定した「営業の見える化」です。
「日々の営業活動におけるプロセスはもちろん、小売先ごとの売上や利益の見える化を実現することが必要だと考えたのです」と業務改革推進室長 兼 経営企画本部 経営企画部 横山 高之氏は当時を振り返ります。特にこれまでの売上を中心とした評価から利益志向へと転換を図ることで、経営基盤の強化につなげていくことが大きく求められていたのです。そこで、売上や利益の見える化に向けた「販売コスト・利益見える化システム」と呼ばれるプロジェクトをスタートさせるのです。
使い勝手の高さと分析に関するノウハウを高く評価
経営企画本部
情報システム部長
岩田 真氏
販売コストを管理するうえで重要になるのが、取引金額や取引量などに応じて発生する代金割り戻し、いわゆるリベートの管理でした。「基本的には問屋への商流が中心となりますが、昨今では小売先に直接商品の提案や説明を行う機会も増えていることから、小売先ごとの損益管理が求められてきたのです」と横山氏。大枠では、問屋や小売先への売上金額から代金割戻金を含めた販売コストを差し引くことで利益を算出することが可能ですが、これまでは全て営業担当者が自身のExcelを使って手作業で計算しており、膨大な手間がかかっていたのです。「確かにこれまでもExcelにて数字は把握していましたが、手間がかかるために主要な取引先だけが日々更新されている状況でした。システム化することで把握できる小売先の範囲を広げるだけでなく、戦略的にデータを活用したいと考えたのです」と横山氏は語ります。
そこで業務面での要件を詰めながら、システム構成の議論を進める過程で、従来のExcelによるインプット部分とそれを帳票化するアウトプット部分の双方で仕組みを検討、それらを連携させるための仕組みとして注目したのが、ユニリタが提供しているETLツール「Waha! Transformer」でした。「実は数年前にWaha! Transformerを導入し、社内の業務改善に向けてデータ抽出や変換、加工などの処理に利用していました。ジョブも40あまり自作していますが、使い勝手の良さに満足しており、今回の仕組みでも活用できると考えたのです」と語るのは、経営企画本部 情報システム部 課長代理 狼 秀人氏です。
また、以前からのやり取りのなかで、ユニリタ自体がデータ分析やDWHなどに長年取り組んできたことを把握しており、見える化プロジェクトにおける分析分野でも豊富な経験が活かせると判断した狼氏。「実は1年後の稼働が前提だったことで、プロジェクトとしては短納期で進める必要がありました。そこで、当初から協力会社にも入ってもらう予定だったのですが、データ分析に関するノウハウを持つユニリタであれば、ツールの提供のみならず、要件定義からシステム実装まで含めてお願いできると考えたのです」と経営企画本部 情報システム部長 岩田 真氏は説明します。
結果として、インプットデータのデータ抽出から帳票へアウトプットするまでのデータ連携基盤として、「Waha! Transformer」が採用されることになったのです。
高いプロジェクトマネジメント能力で短納期ながら
スケジュール通りに本稼働を迎える
経営企画本部
情報システム部 課長代理
狼 秀人氏
新たに構築した仕組みでは、小売先への納品情報である「倉出しデータ」と代金割り戻しも含めた「小売先ごとの請求金額」という2つのデータを、取引先となる問屋からEDIデータとして取得したうえで、Webシステムへの直接投入やCSVでの取り込みを実施します。そのデータから必要な情報を「Waha! Transformer」が抽出し、1つはAS/400上の会計システムに、もう1つはBIツールである「Dr.Sum」に情報を受け渡すことで、小売先ごとの損益が可視化できる帳票が出力できるようになっています。同時に、経理部門の二重入力が解消でき、業務効率化にも貢献していくことが期待されています。
現在は、2つの問屋からEDIデータを提供いただき、分析に活用しています。このデータでも十分に分析に足りうる情報なのですが、「事前にアンケートを行った結果、8割弱の問屋が納品および請求に関するEDIデータを持っていることが確認できました。現時点では第1フェーズの開発を終え、BIツールに情報を蓄積している段階にありますが、今後はわれわれが把握したい小売業300社に対するEDIデータを増やしていき、営業戦略の立案などに役立てていきたい」と横山氏は語ります。
「今回新たな基盤を構築したことで、これまでExcelにて手作業していた集計作業が軽減され、アイテムごとの損益管理や小売先ごとの収益の見える化が実現できました。今後データが蓄積されることで営業戦略の立案や予実管理などにも活用できるようになります。従来よりも詳細な情報を収集していることもあり、扱うデータの増加に伴って効率化が進んでいない面もありますが、手作業では得られなかった広範囲なデータを活用できるようになります。活用段階となる第2フェーズには、目に見える効果が表れてくるはず」と横山氏は期待を寄せています。
「Waha! Transformer」については、「非常に使いやすく開発も容易なツールという印象です。かゆいところに手が届く機能拡張もコンスタントに行われています。1カ月で30万件ほどのデータ処理が発生しますが、パフォーマンスも申し分ありません」と狼氏は評価します。
今回はDr.Sumの構築まで含めてユニリタが請け負っていますが、短期間ながらもスケジュール通りに稼働させることができました。「本社移転のプロジェクトと重なったこともあり、結果として当初よりもタイトな納期となってしまったものの、ユニリタの協力のもと予定通りに動かすことができました。日々状況が変化するなかでも、プロジェクトリーダーの方が高度なプロジェクトマネジメント能力を発揮してくれたからこそだと感謝しています」と岩田氏は高く評価します。開発されたジョブも安定して動いており、大きなトラブルもないとその開発品質に関する評価の声もあがっています。
データ活用の推進とダッシュボードによる可視化をさらに推進
今後については、蓄積した情報を活用する「販売コスト・利益見える化システム」の第2フェーズに向けてデータ収集の範囲を広げていきながら、営業現場での活用もこれから進めていく計画となっています。また、収集したデータをダッシュボード的にみせる仕組みも欠かせない部分であり、表現力のあるツールで経営層も含めた情報の可視化を進めていく考えです。「そもそも営業が作成している会議資料も全てデジタル化して作成できるようにしたいという思いもありますし、レポート含めてExcelで行っている業務は全てBIツールを使ってシンプルにしたい」と横山氏は語ります。
他にも、RPAやAI、IoTといった新たな技術の活用についても経営層から要望があがっており、活用方法について検討を進めていく段階にあります。「AIをはじめとした新たな技術にどう向き合っていくべきなのか、議論を進めているところです。ユニリタからの提案も期待しています」と横山氏は語っていました。
「Waha! Day 2021」のユーザー講演もご参考ください。
カンロ株式会社(Kanro Inc.)
- 事業内容:菓子、食品の製造および販売
「糖と歩む企業」の全体方針の基、として自社を位置づけ、糖を基盤とした事業を通じて人々の健やかな生活に貢献することをミッションとする - 設立:1950年5月6日
- 従業員数 :544名(2018年7月1日現在)
- ホームページ : https://www.kanro.co.jp/
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