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ユーザーファーストを前提としたビジネスモデル変革を成し遂げる|カシオ計算機株式会社 様

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ユーザーファーストを前提としたビジネスモデル変革を成し遂げる

周辺システムとの連携によってDX推進を強力に支援する「Waha! Transformer」

「G-SHOCK」ブランドの時計をはじめ、電子辞書や電卓、電子楽器などを提供しているカシオ計算機株式会社では、付加価値の高い機能を打ち出したプロダクトファーストな事業展開から、ユーザー中心のビジネスモデルへの変革に向けて、「G-SHOCK」のカスタマイズサービス「MY G-SHOCK」を新たに企画。ユーザーが満足する価値を即座に提供できるバリューチェーンを構築するためのデータ連携基盤に「Waha! Transformer」を採用しています。

導入メリット

API-HUBとして「Waha! Transformer」をデータ連携の中心に据え、新たなバリューチェーンを短期間のうちに構築することに成功。一人ひとりのユーザーに向き合う事業変革を実現するためのDX戦略構築に向けた重要な基盤のひとつに。

課題

ユーザー中心のバリューチェーン構築を推進

世界初の小型純電気式計算機を開発したことでリレー(継電器)式計算機の開発・製造会社として1957年に設立したカシオ計算機株式会社。現在は、世界的なブランドである「G-SHOCK」などの時計事業を中心に、関数電卓や電子辞書などの教育事業や電子ピアノや電子キーボードなどの楽器事業、ハンディターミナルや電子レジスターなどのシステム事業、そして皮膚科医向けカメラなどのメディカル事業をはじめとした新規事業を展開しています。これまでにない斬新な働きを持った製品を提供することで、社会貢献を実現する「創造 貢献」を経営理念に据え、使う人にとって最も大切な存在を作り続けています。

デジタル統轄部
エンタープライズシステム部
部長
上原 敬氏

そんな同社では、デジタルやデータを効果的に活用することで「一人ひとりのユーザーに向き合う事業変革」を実現するDX戦略を掲げており、ユーザーファーストの事業戦略を強力に押し進めています。「お客さまとのタッチポイントが広がるなか、お客さまと直接つながる事業モデルへの変革を加速させています」とデジタル統轄部 エンタープライズシステム部長 上原 敬氏は説明します。なかでも、従来は開発、生産、物流、販売という順序で商品が市場に流通する典型的なメーカーとしてのバリューチェーンから、ユーザーを中心として開発や生産、営業を回していくというユーザー中心のバリューチェーンへの事業変革に注力しています。

同社が進めるDX戦略においては、ユーザーと直接つながることで豊かな体験を提供する「機会を創出する体験づくり」を進めています。そして、その一環として新たに企画されたのが、液晶や文字板、ベゼル、バンドなどの各パーツの色を選び、自分好みの「G-SHOCK」が作成できる「MY G-SHOCK」です。「ユーザーコミュニケーション中心の新しい体験を提供するブランドに『G-SHOCK』を進化させていくというブランド戦略を掲げるなか、『G-SHOCK』のカスタマイズサービスとして『MY G-SHOCK』が企画されました」と上原氏は当時を振り返ります。

ただし、「MY G-SHOCK」は、ECサイトにてユーザーが好みの色をカスタマイズし、オーダーに基づいて組み立てていく受注生産方式に近いモデルで、従来のような見込生産方式とは大きく異なってきます。「見込生産方式を支える仕組みは長年取り組んできましたが、全く新しい方式にシステムをどう対応させていくのかが大きな課題となりました。起点となるECサイトでオーダーしてもらうためには何の情報が必要で、オーダーをどのようにバックエンドに流していくのかという環境整備が必要になったのです」と上原氏は語ります。

解決策

短期間での開発に経験豊富な人的リソースが生かせる
「Waha! Transformer」が最良だった

前提として、購買や在庫、販売といった社内の基幹システムとなるERPに受注生産の処理を反映させることが必要で、新たに立ち上げるECサイトはもちろん、既存システムとの連携が大きな鍵となっていました。「クラウド上に展開するECサイトをはじめとしたフロントシステムとはAPIで連携し、従来行ってきた基幹システムや工場側の製造管理システムなどのファイル連携をうまく組み合わせたハブとなる環境が必要だったのです」と上原氏。

元々社内にはシステム連携のための標準的な仕組みとしてFTPを使ったファイル連携やメッセージキューなどを使って連携する仕組みは存在していましたが、ECサイト側のインタフェースとなるJSONやXMLなどと基幹システムをうまく連携させる必要があったのです。実際に開発を担当した同部 国内グループ 友野 研吾氏は「当日の朝にオーダーをもらった段階で、即時に工場までデータ連携を行うことも想定されており、従来標準のファイル連携では間に合わないケースも。リアルタイム性が求められる案件だったこともあり、ETLのようなソリューションが必要だと考えたのです」と説明します。

デジタル統轄部
エンタープライズシステム部 
国内グループ
友野 研吾氏

そこで注目したのが、ユニリタが提供する「Waha! Transformer」でした。「『Waha! Transformer』はすでに15年以上前からEDI連携の部分で採用し開発や運用を行っている実績があり、社内に扱えるメンバーがいたことも大きかった」と上原氏。実は今回はユーザー接点となるECサイト側ではアジャイル方式で開発を進めていたこともあり、なかなかバックエンド側の仕様確定が難しい状況でした。「ECサイト側の仕様に沿ってバックエンド側の仕様も確定させていく必要があったにもかかわらず、仕様を検討し始めてから稼働までにわずか半年しか残されていなかったのです。短期間での開発が求められた今回のプロジェクトとしては、過去の経験や社内にETLを扱えるメンバーがいるという意味で、『Waha! Transformer』が最適だと考えました」と上原氏。

そこで、社内でシステムのアーキテクチャーを検討する専門部隊に妥当性について相談したところ、「短期間での環境整備に向けては『Waha! Transformer』を用いるのが現実的だという意見もあり、即決に近い形で決断することができたのです」と友野氏。短期間での開発が必要なため、一行ずつコードを書いていくようなスタイルではなく、GUIで自由に開発でき、仕様変更にも柔軟に対応できるツールが望ましく、その点でも「Waha! Transformer」が最適だったと語ります。

結果として、新たなバリューチェーンへの変革に向けたシステム連携の重要な基盤として、「Waha! Transformer」が採用されることになったのです。

導入効果

ユーザー中心のバリューチェーンを整備、その中心にある
「Waha! Transformer」

現在は、「Waha! Transformer」によるAPI-HUBを架け橋として、ECサイトをはじめ、受発注処理や売上計上を行う基幹システム、入出荷管理を行う倉庫管理システム、オーダーを受けて生産を行う製造管理システム、そして、パーツ在庫情報からEC在庫を算出する在庫算出エンジンおよびコンポーネントとパーツの構成情報を管理するマスター情報を持つカスタマイズコアシステムを連携させ、ユーザーのカスタマイズオーダーに基づいた生産方式に対応できる環境を実現しています。

工場内の部品倉庫にあるパーツの在庫情報をもとに、顧客がオーダー可能なコンポーネントと呼ばれる単位に注文可能な在庫数を弾き出し、毎朝カスタマイズコアシステムを経由してECサイトに情報を提供。ECサイト側でオーダーが入ると、工場側に受注情報が受け渡された段階で製造が始まり、製造完了後に梱包された商品が物流センターに配送され、オーダー先に配送される流れとなっています。オーダー受付時や製造開始、倉庫への搬入、発送など、ステータスごとにECサイト上に用意されたマイページから確認できるだけでなく、それぞれメールでのお知らせが顧客に通知されます。これらシステムごとのデータのやり取りに「Waha! Transformer」が活かされています。



今回はDXにつながる新たなビジネスモデル変革における試金石として環境整備できたことが何よりだと評価しています。「今回は時計事業における領域でしたが、他の事業からもやりたいという声が上がってきています。同じ基盤で実現できるユーザー中心のバリューチェーンが活用できるという点でチャレンジできたことは大きい」と上原氏。また、直接ユーザーとのタッチポイントができたことで、これまで以上に多くのデータが蓄積できるようになっています。「ECサイトに情報が蓄積できたこと自体が大きな成果ではありますが、さらに分析を進めてサービス自体を進化させていき、既存製品にも反映できるようになったことも大きな効果の1つです」と評価します。

短期間でサービスを立ち上げなければならないプロジェクトでしたが、「Waha! Transformer」のおかげで納期通りのカットオーバーに成功しています。「『Waha! Transformer』がなければ、データ連携の部分がボトルネックになって遅れてしまっていた可能性は十分考えられます」と上原氏。特に今回は、従来あまり扱ってこなかったXMLやJSONなどツリー階層型のデータがECサイト側での設計仕様上の標準でもあったため、社内基幹バックエンドとの直接的な連携には不安を感じた場面もあったと友野氏。「単純なRDBとは違うデータ構造に慣れていないこともあって当初は不安もありましたが、『Waha! Transformer』がうまく吸収してくれました」。

サービス開始後も継続的に改善を続けていますが、API-HUBとしての「Waha! Transformer」がうまく吸収することで、最適な顧客体験に向けた改善活動に大きく役立っています。「『Waha! Transformer』のおかげでスピーディに対応できており、変化に強いツールだとあらためて実感しています」と上原氏は評価します。

「Waha! Transformer」については、直感的にシステムフローが実装しやすい点を高く評価します。「GUIのDesigner内で直感的にデータ処理の論理上の機能単位を決めてシステムフローを定義できます。プログラミング言語を主体とした開発手法では、大きなプログラムのなかでの1つのロジック単位として無理にまとめるような設計をしてしまうと内部仕様レベルで無駄に複雑化しやすく保守局面でのコードの可読性も落ちるなど弊害もあります。一方でプログラム単位の機能分割を行いすぎると開発本数が肥大し大規模開発であるかのようになりやすい。処理ステップを論理上の機能要素ごとに分解し、要素あたりの機能仕様を簡素化する設計手法に慣れていたこともあり、また、ETLツール自体が元来そこに主眼を置くものですが、それを実装レベルで視覚的にも具現化してくれる、『Waha! Transformer』は私にとって非常になじみやすかった。エディター内でコピー&ペーストしながらデータ構造も定義できるなど、開発効率の高さについても魅力の1つです」と友野氏。

今後の展開

時計以外の事業に向けたユーザー中心のバリューチェーンを展開、
DX戦略をさらに加速

現在は「MY G-SHOCK」をスタートさせて1年ほどが経過しており、日々ユーザー体験を高めていくための改善活動を続けていきながら、同社が描くDX戦略をさらに加速させて行きたい考えです。「機会を創出する体験を提供し続けることで、これまで以上に多くのお客さまとつながり続けることができます。『MY G-SHOCK』を通じて、今後もブランド価値を高めていきたい」と上原氏。

また、今回構築したユーザー中心のバリューチェーンを、時計以外の事業にも展開していきたいと期待を寄せています。実は、各学校向けにカスタマイズした辞書を提供するサービスを電子辞書事業において始めています。「電子辞書の新たなサービスについても、今回『Waha! Transformer』で構築したAPI-HUB基盤を経由してデータのやり取りを行っています。ユーザー中心のバリューチェーンが活かせる事業があれば、さらに展開していきたい」と今後について上原氏に語っていただきました。

カシオ計算機株式会社

  • 事業内容 :時計、電子辞書、電卓、電子文具、電子楽器、ハンディターミナル、電子レジスターなどの開発・製造・販売
  • 創業 :1957(昭和32)年6月1日
  • URL :https://www.casio.com/jp/


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