ホストによる原価計算処理の移行を実現、100年以上続く仕組みを劇的に変革|TOPPANホールディングス株式会社 様
活用しやすい形にデータ加工、情報活用を加速させる「Waha! Transformer」
印刷テクノロジーを中心に事業を展開しているTOPPANホールディングス株式会社では、基幹システムとして運用してきたメインフレームをオープンシステムへとレガシーマイングレーションを進めるなかで、バッチ処理に関連した膨大なジョブを移行するためにETLツールの「Waha! Transformer」を採用。併せて、管理帳票を現場に提供するための環境として、「Report & Form Warehouse」を活用しています。
導入メリット
レガシーマイグレーションを行うにあたり、4,000を超えるジョブ全てを手作業で開発せずとも効率よく移行できるソリューションが必要に。「Waha! Transformer」を活用してバッチ処理を移行、ホストで作成されていた帳票の移行は「Report & Form Warehouse」にて実装。100年以上続いた原価計算の手法変革に貢献、業務の省力化やペーパーレスも実現。
目次
課題
ホスト撤廃に欠かせないバッチ処理の移行が課題に
エルヘート凸版法という当時最先端の技術を用いた印刷を行う企業として1900年に創業、現在は印刷テクノロジーをベースに、「情報コミュニケーション事業分野」「生活・産業事業分野」「エレクトロニクス事業分野」の3分野にわたり幅広い事業を展開しているTOPPANホールディングス株式会社。「DX」と「SX」を推し進めるなか、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとなるべく、「トッパングループ新中期経営計画」を現在推進しており、事業ポートフォリオの変革や経営基盤の強化、ESGへの取り組み深化を重点施策に据え、成長獲得フェーズとして企業価値最大化に向けた取り組みを加速させています。
そんな同社は、メインフレーム上で稼働していたSystem/390からオープンシステムへのレガシーマイグレーションを進めるべく、グループの基幹業務を仮想基盤上で統合するBIT-21(Business Innovation for Toppan Vision21)を2005年から推進してきた経緯があり、2008年ごろには実際に現場へのBIT-21展開を進めてきました。
デジタルイノベーション本部
品質保証室
シニアプロフェッショナル
川島 誠人氏
ただし、バッチ基盤の開発が後追い状態となっていたため、エントリーや照会業務は全てBIT-21にて行っていたものの、System/390上でバッチ処理を動かして業務を行っていたと当時を振り返ります。「System/390を撤廃するためには、このバッチ処理を新たな環境に置き換える必要がありました。当初は1つずつ設計書を作成してバッチの開発を行っていましたが、4,000を超えるジョブ全てをスクラッチで開発するには限界も。そこで、効率的にバッチを再開発する仕組みが求められたのです」とデジタルイノベーション本部 品質保証室 シニアプロフェッショナル 川島 誠人氏は当時を振り返ります。
解決策
当時のバッチ処理の考え方に近く、親和性の高さを評価した「Waha! Transformer」
新たな環境づくりにおいて注目したのが、すでに本社側で導入されていた、ユニリタが提供する「Waha! Transformer」でした。実は、ユニリタとはITサービスマネジメント領域で接点のあったユニリタのグループ会社である株式会社ビーエスピーソリューションズとの関係で接点があり、同社の関連会社や会計処理のジョブの切り替えのために本社側にて「Waha! Transformer」が先行導入されていました。基幹システムのジョブを管理するツールとして「A-AUTO」が導入されていたことも、ユニリタを知るきっかけのひとつだったのです。「System/390のバッチはJCL(Job Control Language)で開発していました。当時の開発メンバーに『Waha! Transformer』に触れてもらったところ、JCLと考え方が近く、親和性が高いという評価が得られたのです」と川島氏。
そこで、バッチ系のプログラムを「Waha! Transformer」に切り替え、ジョブの統合を含めて数百本あまりのジョブをわずか半年で切り替えることに成功したのです。
デジタルイノベーション本部
グループIT戦略室
コラボレーション開発部1T 課長
関口 直樹氏
また、2012年ごろに事業部側でAS/400を用いて管理帳票が作成されていましたが、このマイグレーションに関しても新たに管理帳票を作成する仕組みが求められました。ここで当時業績管理に関する業務に携わっていたデジタルイノベーション本部 グループIT戦略室 コラボレーション開発部1T 課長 関口 直樹氏が社内メンバーから紹介を受けたのが「Report & Form Warehouse」でした。「当時の帳票は、Webブラウザーで描写したものをExcelに展開したりプリントアウトしたりするというシンプルなもの。ちょうど他のメンバーから『Report & Form Warehouse』を評価してほしいという声がかかったのをきっかけに試してみたところ、画面上でシンプルに帳票が提供できるツールとして十分使えると考えたのです」と関口氏。
それ以降、バッチ処理のプログラム作成やデータ連携のツールとして「Waha! Transformer」が、各種帳票作成およびシンプルなデータ分析の基盤として「Report & Form Warehouse」が同社の中に根付いていくことになったのです。
導入効果
目的に応じたデータ連携に役立つ「Waha! Transformer」、帳票作成に便利な「Report & Form Warehouse」
現在のシステム構成は、業績や製造関係で現場から直接エントリーした情報が格納された統合DBとともに、統計情報を得るための業績DBが存在しており、この業績DBから目的別にデータを取得した上で加工して必要な形に処理する部分に「Waha! Transformer」が活用されています。「統合DBから業績DBへのデータ連携はJavaで作成したバッチが動いていますが、出来上がった業績DBのデータを『Waha! Transformer』で抽出し、月次の生産実績など目的別の標準DBとしてほしい形に仕立てています。現在は2,500本ほどのデータフローを運用しています」とデジタルイノベーション本部 グループIT戦略室 コラボレーション開発部2T 鶴川 直一氏は説明します。
デジタルイノベーション本部
グループIT戦略室
コラボレーション開発部2T
鶴川 直一氏
原価計算を主に担当しているデジタルイノベーション本部 グループIT戦略室 ERP推進部 課長 河田 恭江氏は、外注費のテーブルなど原価計算に必要な100を超えるDBテーブルを活用していますが、このデータ処理に「Waha! Transformer」を活用しています。「目的別のDBからデータを取得して、原価計算に投入するためのデータ作成に『Waha! Transformer』を活用しています。また原価計算を行った結果を『Waha! Transformer』にてテキストファイルとして現場に提供しています」と河田氏。「Waha! Transformer」については、連携するフローのステップが可視化できるため、思ったようなデータが出てこないときに、試行錯誤しやすく、自分たちで調べやすいと好評です。「抽出条件や結合条件を変えながらお試しできるため、とても検証しやすい。1つずつ検証しながら開発が進められなければ、おそらく原価計算の移行は難しかったはず」と河田氏は高く評価します。
デジタルイノベーション本部
グループIT戦略室
ERP推進部 課長
河田 恭江氏
業績管理のためのDB以外にも、業績DBから取得した人事データを「Waha! Transformer」にて加工し、BIT-21のバッチサーバーに送ることで、夜間にマスター情報の更新を行っています。「以前はExcelやAccessを駆使して手作業でデータ加工を行っていましたが、途中の処理を『Waha! Transformer』に全て置き換えることで、かなりの省力化に貢献しています」と鶴川氏は評価します。他にも、ワークフローに必要な組織や人事マスターの作成をはじめ、「Waha! Transformer」で処理した結果をインプット情報として、原価計算や会計系の処理に利用するなど、さまざまなデータ処理に「Waha! Transformer」が活用されています。
「Report & Form Warehouse」は、業績管理や売り上げ実績などの各種帳票を作成するツールとして活用されており、各エリアにいる担当者含めて60名ほどが帳票作成を行っています。「生産管理の仕組みを担当した際には、月末の棚卸し情報を『Waha! Transformer』にて作成し、経理部門が毎月保存するために『Report & Form Warehouse』にて帳票を作成するなど、決算時に必要なアウトプット帳票を作ったことも。本社ではわれわれが主に帳票作成してきましたが、主には各エリアの担当者が『Report & Form Warehouse』を使いこなして帳票を作成しています」と関口氏。現在でも、AS/400を運用している事業部側で帳票の移行を計画しており、多くの帳票を「Report & Form Warehouse」に移行する計画となっているなど、成功事例として社内でツールの横展開が加速している状況です。
「Report & Form Warehouse」については、描画した帳票からドリルスルーして詳細情報まで確認するといった、簡易的な分析ツールとしても活用しています。「導入当初は意識していませんでしたが、帳票を複数作ってリンクでつなげることで、詳細情報も見せることができることを知りました。こんな情報にアクセスしたいという仮説のもとドリルスルーできるように帳票を作成しており、情報活用したい人に応えられるようにしています」と関口氏。
使い勝手の面では、現場からのさまざまな要望に対しても、いろいろ試しながら負担なく帳票作成することができると好評です。「テーブルを結合しながら試していくとやり方が浮かんでくるなど、ツール自体が分かりやすいという印象です。確かにSQLでもできますが、自分でテーブルを定義することから始めなければなりません。その点、『Report & Form Warehouse』は手っ取り早く始めることができます」と評価します。
「ユニリタのソリューションのおかげで、System/390が撤廃できただけでなく、100年以上続けてきた売価還元法から個別原価法へ切り替えを行ったBIT-21による原価計算システムの移行が完遂できた」と川島氏は評価します。適正な原価計算によって適切な経営判断を行うためにも、個別原価法への移行は重要になってきます。「『Waha! Transformer』だけでホストから脱却ができたわけではありませんが、少なくとも2015年に行った原価計算の切り替えは成し遂げられなかったはず」。また、ホストのバッチから「Waha! Transformer」の処理に移行したことで、ペーパーレスが進んだことも効果の1つに挙げています。「データが出せるようになってからは、必要なものは『Report & Form Warehouse』で作成した帳票をWebブラウザー上で閲覧できるようになりましたし、PDFやレポートビューなどさまざまな方法で情報提供が可能になっています。紙は目に見えて減っています」と鶴川氏。
今後の展開
今後もユニリタのソリューション活用に期待
「Waha! Transformer」や「Report & Form Warehouse」、「A-AUTO」など、すでに導入して数年が経過しているユニリタの各ソリューションについては、すでにバージョンアップが計画されているなど、今後も継続して活用していく予定となっています。「おそらく『A-AUTO』は他に切り替えるという話しはありませんし、『Waha! Transformer』や『Report & Form Warehouse』はバージョンアップを進めています。今後も継続してユニリタのソリューションを使っていくことになるはずです」と鶴川氏。
なお、「Waha! Transformer」については自由度の高いツールなため、設計書を事前に用意した上で作成するようなプロセスではなく、インプットとアウトプットが同じでも作る人によって癖が出てきてしまうと関口氏は指摘します。「ドキュメントジェネレータ機能なども駆使して、第三者が見ても中身が把握できるような、保守しやすい環境づくりにも取り組んでいきたい」と今後について語っていただきました。
TOPPANホールディングス株式会社
- 事業内容 :「印刷テクノロジー」をベースに「情報コミュニケーション事業分野」、「生活・産業事業分野」および「エレクトロニクス事業分野」の3分野にわたり幅広い事業活動を展開
- 創業:明治33年 (1900年)
- 従業員数 :連結 53,946名 (2023年3月末現在)
- URL :https://www.holdings.toppan.com/
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