記事公開日
データ連携「IBM i(AS/400)」×「Waha! Transformer」 ~ブラックボックス化したデータの高速同期と内製化

多くの日本企業で基幹システムとして長年稼働し続けている 「IBM i(旧称:AS/400)」。独自のオブジェクト構造により高いセキュリティ耐性を持ち、大量の処理をさばく堅牢性から「守りの要」として重宝される一方で、技術者の高齢化やプログラムのブラックボックス化、最新クラウドサービスとの連携ハードルといった課題により、見直しを検討する企業が増えています。
しかし、全面刷新(マイグレーション)か現状維持かの二者択一に縛られる必要はありません。既存の「『IBM i』を捨てずに活かし」、最新のオープン系システムやクラウドと組み合わせる「ハイブリッド戦略」という第三の選択肢があります。
本記事では、「IBM i」と純国産ETLツール「Waha! Transformer」との連携による、リスクを抑えたレガシーデータの賢い継続・活用法(ユースケース)についてご紹介します。
※記載する会社名・製品名は提供元各社の商標・登録商標です。
はじめに:「IBM i」が直面する2026年の現実
「IBM i(アイ・ビー・エム・アイ)」 は、1988年に「AS/400」として登場以来、その堅牢性と高速な処理能力で日本のビジネスを支えてきた統合オペレーティングシステムです。 ウイルスに強く、数億件のトランザクションをさばく能力を持つことから、現在でも多くの企業で稼働しています。
しかし、長年の運用によりプログラム(RPG言語)がブラックボックス化。さらに技術者の高齢化も進み、レガシーシステムとしての課題も浮き彫りになっています。
「IBM i」連携における「3つの壁」とETLツールの必要性
「IBM i」にある貴重なデータをオープン系システムやクラウドで活用しようとする際、技術的な「3つの壁」があります。
- 「文字コード」の壁(EBCDIC): Windows等とは異なる文字コードのため、そのまま移行すると文字化けします。
- 「数値形式」の壁(パック10進数): データが圧縮されており、専用プログラムを書かないと数値として読めません。
- 「ファイル構造」の壁(マルチメンバー): 1つのファイル(表)の中に、データ実体(メンバー)を複数保持できる独特な構造を持っています。通常のSQLだけでは特定メンバーの抽出が難しいため、連携時の障壁となります。
これらをJavaなどの手動プログラムで変換しようとすると膨大な工数がかかりますが、 外部のETLツールを導入することで、これらの課題をノーコードで解決できます。 「IBM i」の堅牢性を維持しつつ、データ活用(攻めのDX)を実現するためには、「IBM i」とオープン系をつなぐETLツールの存在が不可欠です。
データ連携ツール「Waha! Transformer」の強み
「Waha! Transformer」は、国産のETL(Extract、Transform、Load)ツールで、GUIベースでの簡単な操作により、データの抽出・変換・送出ができるデータ連携ツールです。
大量データの高速処理、ノーコード開発を強みとし、メインフレームからSaaSまで、新旧データソースに幅広く接続することで、業務システム間のデータ連携や帳票作成など、幅広い業務に活用されています。

特に「IBM i」との連携においては、以下の強みを発揮します。
- 「IBM i」特有データの自動変換: 前述した「EBCDIC」や「パック10進数」、「外字」などを、設定画面で選ぶだけで自動的に変換・加工できます。
- 脱・属人化(ドキュメント自動生成): 設定内容を仕様書(HTML)として自動生成できるため、RPG技術者に依存せず、オープン系の若手エンジニアでも運用・保守が可能になります。
「IBM i(AS/400)」連携イメージと活用事例(ユースケース)
「IBM i」と「Waha! Transformer」の連携イメージを見ていきましょう。また、連携イメージをもとに、この連携が実際にどのように企業の経営課題を解決するのか、具体的な活用事例(ユースケース)をご紹介します。
「IBM i」連携イメージ例:
- ブラックボックス化したデータの高速同期と内製化(日本通運株式会社様の事例)
- 「Excel手作業」からの脱却とSaaS連携(業務効率化)
- 「疎結合」アーキテクチャによるBCP(事業継続計画)対策とセキュリティ強化
- 「バッチ」×「リアルタイム」の使い分けによる、コストを抑えたDX基盤構築
1. ブラックボックス化したデータの高速同期と内製化(日本通運株式会社様の事例)
RPG技術者の不足により維持が困難になったシステムにおいて、プログラム(ロジック)には手を触れず、データだけを高速にオープン系システムへ同期させます。

【ユースケース】日本通運株式会社様の事例:処理時間を「2時間から数分」へ短縮と脱・属人化
グローバル会計システムの統合に伴い、「IBM i」 内のデータをOracleデータベースへ同期するプロジェクトでの活用例です。
- 課題: 従来の手法ではデータ同期に「2時間」かかり、業務への影響やデータの鮮度に問題があった。また、RPG技術者の高齢化が進んでいた。
- 解決策: Waha! Transformerの導入により、マルチスレッド処理で同期時間を「数秒~数分」に短縮。
- 運用: GUI操作のため、RPGを知らない若手エンジニアでも開発・運用が可能に。
メリット: バッチ処理を「5分間隔」で実行できるようになり、経営層はほぼリアルタイムの数値を確認できるようになりました。また、ブラックボックス化していた処理が可視化され、社内エンジニアによる「内製化」にも成功しています。
2. 「Excel手作業」からの脱却とSaaS連携(業務効率化)
現場に残る「『IBM i』 からデータをダウンロードしてExcelで加工する」業務や、「SaaSと『IBM i』の二重入力」を自動化します。

【ユースケース】Excelで行われていた損益管理の自動化とSaaS連携
小売先企業ごとの複雑な損益管理業務を、Excelの手作業からシステムによる自動処理へ切り替えました。
- 「IBM i」連携: 「IBM i」 特有の「EBCDIC(文字コード)」や「パック10進数」をWaha! Transformerが自動変換し、ExcelやSaaS(クラウドサービス)が直接読める形式に変換・加工。
- SaaS連携: 顧客情報(CRM)や営業支援システム(SFA)などのクラウドサービスと、「IBM i」の基幹データを同期させ、データエントリー業務を自動化。
メリット: 現場担当者は「データの加工」という単純作業から解放され、「データの分析・活用」などの付加価値の高い業務に注力できるようになります。また、属人化していたExcelマクロの管理からも脱却できます。
3. 「疎結合」アーキテクチャによるBCP(事業継続計画)対策とセキュリティ強化
基幹システム(「IBM i」)と情報系システム(SaaS)は、ETLツールを介することで、それぞれの独立性を高めます(「疎結合」)。片方で障害が発生しても共倒れを防げるため、サイバー攻撃のリスクも分散されます。

【ユースケース】「SoR(守り)」と「SoE(攻め)」の完全分離によるリスク分散
ウイルスに強い堅牢な「IBM i」を、止めてはいけない基幹業務(SoR)専用としてオンプレミスに残し、Web受注や顧客対応などの対外サービス(SoE)は柔軟なクラウド上に構築。両者のデータ同期をWaha! Transformerが担います。
- 「IBM i」(SoR): 顧客マスタや売上確定データなど、最重要資産を保護。
- クラウド(SoE): 万が一、Webサイトへの攻撃やクラウド障害が起きても、「IBM i」 側の基幹業務は停止せず継続可能。
- ETLツール: 「IBM i」 のデータを抽出し、個人情報をマスキング(秘匿化)した上でクラウドへ渡すことで、情報漏えいリスクも低減。
メリット: 「全面クラウド移行」に伴う大規模なシステムダウンのリスクを回避できます。また、重要データを堅牢な「IBM i」に残すことで、BCP(事業継続性)とセキュリティレベルを低コストで維持できます。
4. 「バッチ」×「リアルタイム」の使い分けによる、コストを抑えたDX基盤構築
ETLツールではバッチ処理を行いますが、データのリアルタイム連携が必要な場合も、ツールを使い分けることで、システム負荷とコストを最適化できます。

【ユースケース】EC在庫連携(リアルタイム)と販売分析(バッチ)のハイブリッド運用
ユニリタが提供するリアルタイム連携ツール「Connect CDC」と「Waha! Transformer」を併用するケースです。
- 在庫データ (Connect CDC): 「今、在庫があるか」が重要なECサイト連携には、「IBM i」 の更新ジャーナルを検知して瞬時にクラウドへ反映するCDC(Change Data Capture)技術を採用。
- 分析データ(Waha! Transformer): 過去数年分の売上分析や日次決算など、大量データの洗い替えが必要な処理は、夜間バッチで高速かつ安価に処理。
メリット: すべてをリアルタイム処理にする場合に比べ、ライセンスコストやサーバー負荷を大幅に削減できます。
まとめ:賢い継続がDXを加速させる
システムの老朽化やハードウェア・OSの保守の節目を迎えても、「Waha! Transformer」と組み合わせることで、「IBM i」は堅牢なセキュリティと処理能力を維持したまま、DXを支える「最強のデータ供給源」へと生まれ変わります。
- リスク回避: 無理な全面移行を避け、データ連携から始める段階的なモダナイゼーションが実現。
- 人材不足解消: RPGを知らない若手エンジニアでも、プログラミング不要のノーコードツールで「IBM i」のデータを扱えるようになる。
- コスト削減: 既存資産を有効活用し、最小限の投資でデータ活用基盤を構築できる。
「IBM i」独自のデータ形式(EBCDICなど)に標準対応し、純国産ならではの手厚いサポートを提供する「Waha! Transformer」は、「IBM i」ユーザーのデータ活用戦略における強力なパートナーとなります。
具体的な連携構成やコスト感については、ぜひお気軽にご相談ください。
本記事の内容をより詳しくまとめたホワイトペーパーは下記から無料ダウンロードしていただけます。





