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会計システムや勤怠管理システム、顧客管理システム(CRM)、営業支援システム(SFA)など、企業活動においてさまざまな業務システムやアプリケーションが使われています。
業務効率化を進めるには、こうした多種多様なシステムを連携させ、シームレスにデータをやりとりできる仕組みが必要です。
本記事では、システム連携の必要性やメリット、システム連携の主な方法をわかりやすく解説します。
システム連携とは、企業活動で使われる多種多様なシステムを連携させ、データの共有や処理、管理の効率化に取り組むことをいいます。メインフレーム(大型汎用機)を用いた基幹情報システムが主流の時代と違い、近年は導入が比較的、容易なクラウドサービスに置き換え、業務システムのダウンサイジングに取り組む企業が増えてきました。
たとえば、総務省の令和3年版情報通信白書によると、以下のような領域でクラウドサービスが使われています。[注1]
令和元年 | 令和2年 | |
---|---|---|
ファイル保管・データ共有 | 56.0% | 59.4% |
電子メール | 48.0% | 50.3% |
社内情報共有・ポータル | 43.0% | 44.8% |
スケジュール共有 | 37.3% | 43.8% |
給与、財務会計、人事 | 35.7% | 37.8% |
データバックアップ | 31.4% | 36.5% |
営業支援 | 18.4% | 17.6% |
eラーニング | 12.5% | 15.9% |
取引先との情報共有 | 15.4% | 15.8% |
プロジェクト管理 | 9.6% | 13.2% |
受注販売 | 11.2% | 11.6% |
システム開発、Webサイト構築 | 11.4% | 10.8% |
生産管理、物流管理、店舗管理 | 10.2% | 10.2% |
購買 | 8.1% | 9.2% |
認証システム | 5.7% | 8.3% |
課金・決済システム | 5.5% | 8.0% |
研究・開発関係 | 1.9% | 2.4% |
サーバ利用 | 0.0% | 0.0% |
その他 | 7.9% | 7.8% |
代表的なクラウドサービスとして、会計システム、勤怠管理システム、給与計算システム、顧客管理システム(CRM)、営業支援システム(SFA)、マーケティングオートメーション(MA)などが挙げられます。
しかし、クラウドサービスの乱立により、新たな問題も顕在化しています。たとえば、部分最適の思考でクラウドシフトを進め、個々の業務に対応したクラウドサービスを次々と導入した結果、全体の業務効率が低下してしまったケースです。
また、クラウドサービスを導入すればするほど、システム運用の工数が増加し、情報システム部門の負荷が高まります。このように、システム同士の連携が分断され、効率的な運用ができない状態を「サイロ化」と呼びます。
業務システムのサイロ化を防止するには、企業内外のシステム連携に取り組む必要があります。
[注1] 出典:総務省「令和3年版情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242140.html
多種多様なシステムを効率よく管理するためには、全体最適の思考で異なるシステム同士を連携させ、単一のシステムとして統合する必要があります。
システム連携を実現するには、データの連携、処理の連携、アプリケーションの連携の3つの要素が必要です。
データの連携 | 各システムのデータベースを連携させ、管理しているデータをデータウェアハウス(DWH)などに集約する。 |
---|---|
処理の連携 | ジョブ管理ツールなどを用いて、各システムで実行しているバッチ処理を、人を介さず運用管理する。 |
アプリケーションの連携 | 業務アプリケーションを連携させ、一つの管理画面からシームレスに使えるようにする。 |
データの連携、処理の連携、アプリケーションの連携の3点を実現することにより、導入するサービスの数が増えてもシステム同士で連携を取ることが可能になります。
特に重要なのが、データの連携です。社内のさまざまな場所にデータが散在していたり、フォーマットの異なるデータが混ざっていたりすると、業務システムのサイロ化が進行します。データの連携に取り組めば、業務品質を高めることも可能です。たとえば、実績データ、在庫データ、経費データなど、さまざまなデータをシームレスに連携させることで、予実管理や管理会計などの業務を効率化できます。
しかし、システムによってはデータを出力したり、外部のデータをインポートしたりする機能がなく、そのままではデータ連携ができないケースもあります。
そこで、EAI(Enterprise Application Integration)やETL(Extract/Transform/Load)などのITツールを導入する必要があります。
EAIは日本語で「企業内アプリケーション統合ツール」と呼ばれ、文字通り業務アプリケーションの連携や統合を目指すツールです。
EAIツールは1990年代後半から普及しはじめ、企業のシステム連携基盤として活用されてきました。EAIツールの役割は、異なるアプリケーションをシームレスに連携させる点にあります。
EAIツールにアプリケーションを接続すれば、EAIツールを介してほかのシステムにデータを送ったり、機能の呼び出しを行ったりすることが可能です。
一方、ETLツールはデータの抽出(Extract)、変換(Transform)、ロード(Load)の3つの機能を持ったツールを指します。各システムのデータベースからデータを抽出し、異なるフォーマットのデータを変換し、データウェアハウス(DWH)に集約するのがETLツールの役割です。
抽出(Extract) | データソースにアクセスし、必要なデータを抽出する機能 |
---|---|
変換(Transform) | 必要に応じ、データを変換したり整形したりする機能 |
ロード(Load) | 変換したデータを他のシステムに投入(ロード)し、利用しやすくする機能 |
ETLツールの導入により、異なるシステムのデータを連携し、大量のデータを経営判断やマーケティング戦略の立案などに活かすことができます。アプリケーション内のデータをスムーズに連携させるためのツールがEAI、社内に散らばった大量のデータを集約してDWHなどに吐き出すツールがETLと区別しましょう。
システム連携のイメージを具体化するため「勤怠管理システムと給与計算システムの連携」「SFAツールとMAツールの連携」の2つの例を用いて説明します。
勤怠管理システムは、従業員の勤怠記録を集計し、就業日数や残業時間などの勤務状況を管理するためのツールです。従業員の勤怠記録は給与計算にも使われることから、勤怠管理システムと給与計算システムを連携させる企業が増えています。
勤怠管理システムと給与計算システムを連携させれば、勤怠記録を給与計算システムで読み込み、給与計算を自動で行うことが可能です。従来のExcelなどを用いて集計する方法と比較して、勤怠記録の数値を転記する際のミスがなくなり、給与計算にかかる時間も短縮されます。
また、SFAツールとMAツールの連携もよく見られます。SFAツールは日本語で「営業支援システム」と呼ばれ、営業プロセス全般に関わる情報を管理し、営業活動を効率化するためのツールです。
一方、MAツールは新規顧客を獲得するためのマーケティング施策を効率化するためのツールで、主に見込み顧客の管理や顧客情報の管理を行います。SFAツールとMAツールを連携させることで、たとえばMAツールで管理している見込み顧客の情報をSFAツールと共有し、より受注可能性の高い顧客をセグメントしてアプローチすることなどができます。
システム連携のメリットは大きく分けて3つあります。
業務システムやアプリケーションを連携し、社内のデータを一元管理することで、会社の状況が把握しやすくなります。
たとえば、経営分析に必要なデータを効率よく収集し、データドリブンな経営を実現することが可能です。システム連携を進めれば、管理会計や予実管理もしやすくなります。特にETLなどのツールを活用する場合、月次だけではなく、リアルタイムに最新のデータを確認できます。管理会計では、変動費をリアルタイムに集計したり、棚卸資産の残高の変動をその都度、確認したりすることが可能です。
また、予実管理では、Excelを用いた手作業でのデータ集計を脱却できます。社内の各システムから実績データを抽出し、すばやく予実管理を行うことが可能です。
システム連携が進んでいない場合、以下のような理由で情報の信頼性が損なわれます。
情報の信頼性を高めるため、システム連携に取り組み、ETLツールなどを用いてデータを一元管理することが大切です。
システムの一元管理によって保守性も向上します。業務システムやアプリケーションを連携している場合、メンテナンスもそれぞれ実施する必要があります。バックアップデータの取得や保管、障害が発生したときの復旧などを個別に行う必要があり、情報システム部門の負担が増大します。
社内のシステムを統合すれば、トラブルが発生しても迅速に対応し、復旧することが可能です。
また、システムを一元管理することで、リスクをモニタリングすべき箇所が減るため、情報セキュリティの強化にもつながります。
システム連携を目指す場合、具体的にどのような方法を選べば良いのでしょうか。
システム連携に使われる主な手段は3つあります。
それぞれのポイントや必要なツールなどを簡単に見ていきましょう。
ファイル転送はファイル連携とも呼ばれ、システム間で大容量のデータをやりとりするのに適した方法です。ファイル転送の大まかな流れは以下のとおりです。
1.転送したいデータを転送元のシステム側で連携用のファイルとして出力する
2.出力したファイルを連携用のサーバーに転送する
3.サーバー内のファイルを転送先のシステム側でまとめて取り込む
ファイルの転送には、FTP(File Transfer Protocol)やSCP(Secure Copy Protocol)などのOS標準のプロトコルを使うこともできます。FTPやSCPはそれぞれ大容量のファイルの転送に適したプロトコルですが、SCPはSSH(Secure Shell)を用いた通信の暗号化が行われるため、よりセキュリティリスクが少ないのが特徴です。
ただし、FTPやSCPを用いたファイル転送では、転送エラーが発生した場合にファイルを自動で再送する機能はありません。また、連携用のファイルの出力、サーバーへの転送、転送先のシステムでの取り込みなどの作業に手間がかかるため、別途アプリケーションを開発する必要があります。
ファイル転送を効率よく行いたい場合は、ETLツールの導入がおすすめです。ETLツールなら、ノンプログラミングでファイル転送のジョブを作成し、転送エラーが発生した際の再送処理なども簡単に登録できます。
転送元のシステムと転送先のシステムでデータのフォーマットが異なる場合は、自動で変換することが可能です。
メッセージ連携(メッセージング)は、メッセージキュー(Message Queue)を作成し、異なるシステム間でデータをやりとりする方法です。メッセージキューは、削除されたり、処理が完了したりするまでデータ領域(キュー)に格納されています。
そのため、ほかのタスクの処理を待たず、複数のタスクを順番に実行していく非同期処理が必要なシステム連携や、スループット(データ転送速度)が求められるシステム連携に適しています。メッセージキューを活用してシステムを連携する場合、MOM(Message Oriented Middleware)などのミドルウェアの導入が必要です。
Webサービスを用いてシステム連携を行うこともできます。具体的には、HTTPやHTTPSベースのAPI(Application Programming Interface)を用いて、Webアプリケーション同士を連携させる方法です。
ほかのシステム連携の手法と比較して、リアルタイムなデータ連携が可能である点や、システムに精通していない人でも連携可能な点がメリットです。ほとんどのクラウドサービスでは、機能の一部をAPIとして公開し、外部サービスと連携できるようにしています。特に、テレワークやリモートワークをする場合、Web APIに対応したクラウドサービスの導入が必要不可欠なので、重宝するでしょう。
多種多様なクラウドサービスを導入し、業務システムのクラウドシフトに取り組む企業が増えています。しかし、クラウドサービスの乱立により、各システムの経路が複雑化し、かえって業務効率が低下するケースも少なくありません。
そこで必要なのが「システム連携」です。システム連携に取り組む場合は、データの連携、処理の連携、アプリケーション連携の3つの機能を持ったITツールを導入しましょう。
たとえば、システム連携に役立つツールの例として、EAIツールやETLツールが挙げられます。アプリケーション間の連携が目的の場合はEAIツール、データ連携やDWHへの格納が目的の場合はETLツールを導入しましょう。
システム連携を加速させるなら、純国産ETLツールのWaha! Transformerの導入がおすすめです。
シンプルで直感的に操作できるため、初めてETLツールを導入する人でも安心して使えるでしょう。
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実践事例集
上田:D要件として「データ連携・共有」「クラウド技術の活用」「DX認定の取得」の3つ、X要件では「全社の意思決定に基づくものであること」「一定以上の生産性向上が見込まれること」の2つを全て満たす必要がありますから、DXに全社的に取り組んでいる企業のみが対象となる税制だと思います。4月時点では計画申請書の内容が公開されておらず、詳細が明らかになるのは5月以降ですが、過去の税制から考えると、比較的いろいろな項目を記載することになるでしょう。申請書作成にあたっての最初のハードルは、D要件の1つであるDX認定取得だと考えています。すでに取得している企業は別として、これからの企業にとってはこの認定取得が必須です。
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