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「クラウドサービスを導入したが、データの移行がスムーズに進まない」「業務システムやアプリケーションごとにデータを管理しているため、データを抽出・変換・加工・編集する手間がかかる」など、データ連携に関する悩みを抱える企業が多くみられます。
データ連携の基盤を構築し、データ管理を自動化・リアルタイム化する仕組みづくりが必要です。
本記事では、データ連携の基盤を構築する方法や、データ連携のポイントを分かりやすく解説します。
データ連携とは、業務システムやアプリケーション上のデータを連携し、シームレスに活用する仕組みを指します。
企業は顧客データ、経理データ、販売記録データなど、さまざまなデータを取り扱います。
たとえば、企業活動において活用されるデータの例として以下のようなものがあります。[注1]
大企業 | 中小企業 | |
---|---|---|
固定電話 | 19.6% | 7.4% |
携帯電話 | 22.5% | 6.5% |
電子メール | 34.2% | 17.5% |
POSデータ | 23.1% | 5.1% |
eコマースにおける販売記録 | 24.3% | 6.1% |
アクセスログ | 31.6% | 12.4% |
Blog、SNS等記事データ | 13.7% | 3.9% |
CTI音声データ | 8.4% | 1.8% |
GPSデータ | 11.5% | 3.3% |
RFIDデータ | 8% | 1.7% |
気象データ | 8.7% | 2.2% |
顧客データ | 41.9% | 25.8% |
経理データ | 29.9% | 18.3% |
業務日誌データ | 26.3% | 14.8% |
交通量・渋滞情報データ | 8.1% | 2.0% |
動画・映像視聴ログ | 9.4% | 1.7% |
防犯・遠隔監視カメラデータ | 10.7% | 3.4% |
センサーデータ | 10.6% | 1.9% |
電子レセプトデータ | 5.8% | 1.3% |
電子カルテデータ | 5.4% | 1.1% |
画像診断データ | 5.2% | 1.2% |
しかし、顧客データはマーケティング部門、経理データは経理部門など、企業活動におけるデータはそれぞれ異なる部門で管理されます。また、データを取り扱う業務システムやアプリケーションもバラバラです。
データ連携の狙いは、さまざまな場所に蓄積されていくデータを一箇所に集約し、効率的に管理する点にあります。特にデータを起点として経営判断を下すデータドリブン経営や、データに基づいて顧客へのアプローチを考えるデータドリブンマーケティングを実現する場合、データ連携の基盤づくりは必要不可欠となっています。
[注1]出典:総務省「令和2年版情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd132110.html
しかし、データ連携といってもさまざまな手法があります。例えば、以下のような例もデータ連携の一種です。
しかし、こうしたデータ連携は「データを一つずつコピーする手間」「CSVファイルで落とし、別のシステムに移行する手間」が発生するため、あまり効率的な手法ではありません。
データを蓄積すればするほど、経営分析に必要なデータの集計作業が大変になります。また、さまざまなデータを組み合わせる過程でヒューマンエラーが発生し、数字が合わないケースも多々出てきます。
データ連携では、データの入力や加工に手間がかからず、データの更新作業を自動化・リアルタイム化できるような基盤づくりが必要不可欠です。
そこで必要なのが「データ連携基盤」です。
データ連携基盤とは、社内のさまざまな場所に散らばったデータを自動的に収集したり、リアルタイムに連携したりするプラットフォームを指します。
データ連携基盤は、ERP(Enterprise Resources Planning)のように、データ(経営資源)を統合管理するシステムとは少し役割が違います。あくまでも、業務システムやアプリケーションの垣根を超えて、シームレスにデータをやりとりするためのプラットフォームです。
データ連携のメリットや、データ連携によくある課題を知り、データ連携基盤の構築を目指しましょう。
なぜデータ連携の基盤づくりに取り組む必要があるのでしょうか。データ連携のメリットは5つあります。
データ連携によって、信頼度の高い最新のデータを把握できるようになります。経営分析に必要なデータを正確に収集し、データドリブンな経営判断を実現することが可能です。
また、データの信頼性が損なわれたり、古いデータを参照したりすると、さまざまな業務に悪影響が生じます。
例えば、会計データが古い場合、管理会計がおざなりになり、自社の経営状況を正確に把握できません。
逆にデータ連携の仕組みがない場合、以下のリスクが生じます。
業務システムやアプリケーションの最新データを取得し、信頼度の高い手段でやりとりするデータ連携基盤が必要です。
データ連携の基盤を用意すれば、さまざまな業務システムやアプリケーションのデータをリアルタイムに活用できるようになります。特に各事業部からデータ参照依頼が毎日寄せられ、データの準備作業が大変な場合は、データ連携の基盤づくりによって課題解決につながります。
データ連携のタイムラグをなくし、誰もがオープンに社内のデータにアクセスできる環境を整えることで、ビジネス上のチャンスやリスクを見逃しません。
特に国内に複数の拠点を設けている企業や、海外進出を行っている企業の場合、リアルタイムにデータ連携できる仕組みづくりは急務です。
業務システムやアプリケーションによって、データフォーマットが異なる場合があります。
データフォーマットが異なると、以下のような弊害が生じます。
データ連携の基盤があれば、データフォーマットを自動で揃え、異なる種類のデータをシームレスにやりとりすることができます。データフォーマットを変換する工程が不要になり、情報システムのサイロ化を未然に防ぐことが可能です。
データ連携の基盤づくりにより、データ管理のコストを削減できます。
たとえば、以下のようなコストを削減することが可能です。
データ管理にコストがかかるのは、システム間のデータの連携に人が介在するためです。データ連携の基盤を整え、データ管理の全体最適化を実現することにより、データ管理のコストを削減できます。
たとえば、後の項目で紹介するEAI(Enterprise Application Integration)、ETL(Extract/Transform/Load)、RPA(Robotic Process Automation)などのITツールを導入すれば、直感的でシンプルな操作でシステム間のデータを連携できます。
データ管理にかかる工数を減らし、社内のリソースを有効活用することが可能です。
システム間のデータ連携に人が介在する場合、データの受け渡しの際に外部に流出したり、重要なデータが消失したりするリスクがあります。データ連携の基盤づくりは、データ管理の効率化だけでなく、リスクマネジメントの面でも重要です。
データ連携はなぜうまくいかないのでしょうか。
データ連携のよくある課題として、以下の4点が挙げられます。
まず、さまざまな業務システムやアプリケーションにデータが分散し、サイロ化が進んでいるケースが挙げられます。システムによっては、データをCSVファイルなどの形式で出力したり、外部のデータをインポートしたり、APIなどで連携する機能がなく、データの受け渡しが不可能なものもあります。
データの受け渡しを行ったとしても、そのままの状態ではデータを利用できない場合があります。
たとえば、システムごとに独自フォーマットでデータを管理しており、ほかのシステムでは読み取れないケースです。その場合、データを異なるフォーマットに変換したり、ほかのシステムで使えるように加工したりする手間がかかります。
データの更新や移行を手作業で行っている場合も、データ連携がスムーズに進みません。
よくある例が、社内のデータをExcelファイルで管理し、必要に応じてデータを参照しているケースです。Excelを用いたデータ管理は、データの更新作業に手間がかかるだけでなく、入力ミスや転記ミスなどのヒューマンエラーの温床でもあります。Excelでのデータ管理から脱却し、データ連携の基盤を構築しましょう。
クラウドサービスを導入する企業が増えた結果、クラウドサービスと従来のオンプレミスのシステムのデータ連携ができないケースが生まれています。クラウドサービスの主なデータ連携方法は、CSVファイルで落として手動でデータを連携する方法と、API(Application Programming Interface)を利用してデータを連携する方法の2種類です。
前者の場合、オンプレミスシステムとのデータ連携のために追加のアプリケーション開発が必要になることもあり、手間やコストがかかります。クラウドサービスの導入も念頭に置いたデータ連携の基盤づくりが必要です。
データ連携の基盤を構築するといっても、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、データ連携の基盤づくりに役立つ開発手法やITツールを簡単に紹介します。
データ連携基盤を内製する場合は、スクラッチ開発により、オリジナルのシステムを開発する必要があります。スクラッチ開発の利点は、自社のニーズに合ったシステムをオーダーメイドで開発できる点です。
一方、エンジニアが不足している企業や、開発予算が乏しい中小企業の場合、スクラッチ開発はハードルが高いため、既存のITツールを利用することをおすすめします。
EAIツールは、日本語で「企業内アプリケーション連携ツール」と呼ばれ、業務アプリケーション上のデータをシームレスにやりとりするためのプラットフォームです。
主な機能として、アプリケーション同士を結びつけるアダプター機能や、データフォーマットの変換機能などが利用できます。
ETLツールは、データの抽出(Extract)、変換(Transform)、ロード(Load)の3つの機能が揃ったプラットフォームです。
抽出(Extract) | データソースにアクセスし、必要なデータを抽出する |
---|---|
変換(Transform) | 必要に応じ、データを変換したり整形したりする機能 |
ロード(Load) | 変換したデータを他のシステムに投入(ロード)し、利用しやすくする機能 |
業務アプリケーション同士を結びつけるEAIに対して、ETLの役割はさまざまなデータソースからデータを抽出し、データウェアハウス(DWH)などの保管場所に格納する用途で使われています。
データ連携で気をつけたいポイントは2つあります。
まず、データ連携の目的を明確にしましょう。データ連携の目的によって、導入すべきITツールが変わってきます。
たとえば、顧客データの連携のみが目的であれば、顧客データ基盤(CDP)や顧客管理システム(CRM)の導入で十分という企業も多いでしょう。
しかし、「大量のExcelファイルが存在し、データの収集や修正を自動化したい」「生産管理や販売管理など、異なる事業部のデータを連携させたい」といった課題を抱えている場合は、ETLツールの導入が必要になります。
データ連携の目的を明確化したら、次に最適なデータ連携方法を検証します。データ連携に必要な要件を洗い出すことで、ツールの選定が楽になります。
EAIツールやETLツールなど、データ連携基盤ごとの違いを把握しておくことも大切です。データ連携ツールを選ぶときは、データ連携の目的と、データ連携方法の機能要件の2点を明らかにしましょう。
データ連携とは、異なる業務アプリケーションのデータをシームレスに連携し、リアルタイムに活用する仕組みを指します。データ連携の基盤を構築することで、データ管理の工数を削減したり、最新のデータを自動で抽出したりすることが可能です。
データ連携の基盤づくりに役立つITツールとして、EAIやETLなどが挙げられます。
データ連携に関する課題の解決なら、純国産ETLツールの「Waha! Transformer」の導入がおすすめです。データベース(DB)、Excel、Google Sheets、Salesforce、Kintoneなど、さまざまな接続先からデータを抽出し、シームレスにやりとりできるプラットフォームを提供します。
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実践事例集
上田:D要件として「データ連携・共有」「クラウド技術の活用」「DX認定の取得」の3つ、X要件では「全社の意思決定に基づくものであること」「一定以上の生産性向上が見込まれること」の2つを全て満たす必要がありますから、DXに全社的に取り組んでいる企業のみが対象となる税制だと思います。4月時点では計画申請書の内容が公開されておらず、詳細が明らかになるのは5月以降ですが、過去の税制から考えると、比較的いろいろな項目を記載することになるでしょう。申請書作成にあたっての最初のハードルは、D要件の1つであるDX認定取得だと考えています。すでに取得している企業は別として、これからの企業にとってはこの認定取得が必須です。
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