excel-macro-vba_skill
日々、データ集計用のExcelファイルを更新されている皆さん。
私たちはいったい、一日に何回ぐらいExcelを開いているのでしょうか?
ふとそんな疑問が湧いてしまったのは、先日SNSを覗いていた時に流れてきた「Excelスキルが高くてみんなの役に立っているはずなのに、職場で評価されない」といった内容のトピックでした。
そこでのやり取りには大きく2つの論点があって、「Excel集計作業が高い頻度で発生するならマクロやVBAのスキルを駆使して自動化するのはあたりまえ。」という意見が大勢を占めつつ、それに対して「共同作業や引継ぎがスムーズにできない属人化Excelなら安易に作らない方がいい。」といった意見がありました。
ちなみに現在の私自身の職務では、部門のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を日次で更新してトレンドをおさえつつ、前年・前月との差異をチェックするルーティンで1ファイルを1日に数回開く程度。マクロやVBAはおろかsumやiferror以外にExcel関数のお世話になることもなく済んでしまっています。
そんな私だからなのかもしれませんが、先の論点については「属人化Excelには反対」という意見に同意して「いいね」を投じました。
それというのも、過去にまったく別の職務で属人化Excelを引き継いだ時の経験がその動機になるのですが、といっても引き継いだ直後のデータ環境が変わらないうちは全く問題がなかったのです。
ところが、新年度になった途端にエラーメッセージが表示されるようになって、必要なアウトプットが出せない状態に陥りました。
原因はいたってシンプルで、参照するデータの取得先に変更があっただけなのですが、エラーの出ているExcelのどこをどう変更すればよいか探すのに四苦八苦しつつ、修正しようにもメインタスクがあるからまとまった時間はとれず、あちらを直せばこちらでエラーという状況を繰り返しながら、結局は別のExcelファイルで手動更新を続けるという悲しい状況でした。
最終的には同様の集計をしている他部門の業務を洗い出して、共通のデータベースをつくることで懸案の属人化Excelファイルとお別れすることができました。
そんな個人的トラウマを思い出して「属人化Excelに反対」への賛同となったわけです。
「属人化Excelに反対」とした理由のもう一つがこれでした。
皆さんご存知、“手段と目的をはき違えないこと”ですね。
もちろん、利益の拡大のために作業の効率を高めることは基本のキですし、効率化で空いた時間をより付加価値の高い作業や思考・判断の時間に振り替えられるのであればよいでしょう。
ただ、私の場合は、KPIを記録する作業を行う中で「へぇー」とか「おっ」とかつぶやきつつ、想定外の変化が生じた時に対象数値を深掘りしたりしますので、今の作業を自動化すると問題発見の機会を失ってしまうという弊害があるため、集計作業自体の効率化は見合わせています。
また、毎日30分の作業を5分に短縮できたとしても、空いた25分を利益の拡大に結び付けるのは至難の業と言わざるを得ません。
あるいは、毎日25分×20日間=500分≒月8時間となって有給休暇1日にできるなら働き方改革としては万々歳になるのですが、残念ながら日次のルーティン=集計・トレンド分析作業は日をまたいでまとめることはできません。
これが毎日25分×10ファイル=250分≒4時間/日なら話しは大きく変わってきますが、10個のExcelファイルを毎日1人で更新しているような方はまれでしょうし、もしいるのであれば、それはかつての私がそうしたように、Excelを自動化するよりもデータベースなど情報システム化した方が費用対効果も高い、すなわち“利益の拡大”に貢献できるのではないでしょうか?
私のトラウマは、このような考え方で複数部門の多人数を属人化Excelから解放することに成功したわけですが、ExcelのマクロやVBAという専門スキルが役立つシーンが残っていることも十分認識しています。
随時発生の作業なら引継ぎの必要もないはずで、アウトプットまでのスピードを速めることは組織の利益にかなうはずですから、専門スキルを活かすTPO(Time Place Occasion:時と場所と機会)としても適しています。
それでも、組織内で一人だけExcel専門スキルが高い場合には、データ加工の作業が集中してしまうことでその人が本来担うべき職務の時間が奪われるという問題が生じるので、その時は組織内のメンバーの職務定義やスキルセットを見直すなど、ちょっとした変革が必要になってきます。
前述の通り、“利益の拡大”をなすべき事と考えていた私が属人化Excelをデータベース化・情報システム化しようと考えたのは、複数部門の複数人が同様のExcel更新作業を行っていることを知っていたからであり、そこに要している作業を人件費として消化し続けるより、情報システム化して属人化する余地もなくした方が費用対効果は高いというロジックが持てたことで、ざっくりとした試算を添えて稟議書も承認されました。
この差額≒月8万円の人件費には多少の増減はあるものの、単純なシステム化のROI(Return on Investment :費用対効果)は200%、今後同様のExcelルーティンが増えた場合も、属人化Excelに頼ることなくこのシステムでカバーできるので効果は高まる一方という結論にして判断を仰いだわけです。
実際には、当時集計していたデータ自体は社内にあるもので、人事給与システムや財務会計システム、販売・在庫管理システムといった用途別の業務アプリケーションから取得するものがほとんどでしたから、情報システム部門や外注先のSIerさん(System Integrator:IT開発会社)が環境や構造を把握しているシステムということもあって、機能的な要件を含めても難易度の低いシステム開発でした。
2020年代に入ってから急激な盛り上がりを見せるITキーワード「ローコード・ノーコード開発ツール」ですが、それ以前と比べれば、情報システム化・データベース化のハードルとコストは相当下がってきています。
そんなローコード・ノーコード開発ツール分野において、日本国内で最もメジャーなプロダクトはサイボウズ社のクラウドサービス「kitone」でしょうし、TVコマーシャルを見たことのある方も多いことでしょう。
2020年3月、ユニリタの『Waha! Transformer』(ワハ・トランスフォーマー)は、ERPやSFA/CRMなど既存の業務アプリケーションのデータベースと「kintone」とのシステム間データ連携が可能なオプション機能の提供を開始しました。
これにより、「kintone」に入力されたデータをERPに書き込んだり、それとは逆にSFA/CRMのデータを「kintone」に取り込んだりといったデータ連携が機械化・自動化できるので、マクロやVBAによる属人化Excelに依存しない環境が容易に構築できるようになりました。
お化けのように肥大化し重くなってしまったExcelファイルの更新作業から解放され、肝心な「データを視て・考える」ことに時間を費やせる環境が、昭和や平成の時代とは比べ物にならないほど手軽に・ローコストで使える時代になったのです。
以上、かつての私と同じように属人化Excelに悩んでいる方は、情報システム部門に一度相談してみることをお勧めします。
門前払いになってしまったら申し訳ないのですが、もし「すでに似たようなシステムあるから使えますよ。」なんて回答だったらハッピーなことこの上ないですし、さすがにそこまでは無理だとしても、令和の今なら何らかの形で解決方法が見つけられるはずだと思いますので。
セミナーもホワイトペーパーも不要という方にはおまけで恐縮ですが、ネットでみつけた下記の記事をご紹介しておきます。
本当に必要なのは、エクセルマニアですか? | ダイヤモンド・オンライン
シンプルに計算すればいいものを、わざわざ難しい関数やマクロを使って計算した結果、チームのメンバーはそれを見ても理解できず、混乱して数字から遠ざかろうとする。そんな最悪のケースが少なくありません。
筆者は「エクセルマニア」と呼んでいますが、簡単な計算であっても、できるだけそれを自動で計算できるようにしようと、必要のないマクロをわざわざ使って、一気に計算する人たちがいます。
気持ちはわからなくもないですが、エクセルマニアが作ったエクセルは、ほかの人にはわからないし、計算のチェックもできません。
(中略)
筆者はマクロを全否定しているわけではありません。どうしてもチームでマクロを使う必要が生じることもあるでしょう。そのときはマクロを使うべきです。
ただし、その場合はチーム全員でマクロを使えるように、スキルアップに努めてください。
大事なことは、チーム全員がスキルレベルを統一させ、独りよがりのエクセルによる計算ミスを防ぐことです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました
Excelデータの連携事例やホワイトペーパーも公開されていますので、お手すきの時にご参考としてください。
14社の事例から学ぶ!
Waha! Transformer
実践事例集
ユニリタでは「データ集計・加工専門の情報システム」に関する無料セミナーを開催しています。
東京・品川のユニリタ本社2020年5月からはオンラインで開催しており、セミナー後には簡単なご相談にお応えすることもできますので、どうぞご遠慮なくお気軽にご相談ください。
執筆者情報:
ユニリタ Waha! Transformerチーム
株式会社ユニリタ ITイノベーション部
PM・SEに限らず多様な経験・知見を持ったメンバーが、「データ活用」という情報システム部門の一丁目一番地でお役に立つべく集められました。
上田:D要件として「データ連携・共有」「クラウド技術の活用」「DX認定の取得」の3つ、X要件では「全社の意思決定に基づくものであること」「一定以上の生産性向上が見込まれること」の2つを全て満たす必要がありますから、DXに全社的に取り組んでいる企業のみが対象となる税制だと思います。4月時点では計画申請書の内容が公開されておらず、詳細が明らかになるのは5月以降ですが、過去の税制から考えると、比較的いろいろな項目を記載することになるでしょう。申請書作成にあたっての最初のハードルは、D要件の1つであるDX認定取得だと考えています。すでに取得している企業は別として、これからの企業にとってはこの認定取得が必須です。
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