開発したWebサービスは、2021年9月現在、共同開発メンバーであるパン・メーカーを含め4つの工場で稼働しており、同社内の生産プロセス管理だけでなく、多くの中小食品メーカーで活用できるパッケージになっています。現状では、帳票サーバーに「Waha! Transformer」が格納され、生産工程ごとに設定されている計画とともに、生産ラインのタブレットで入力された実績の差異を帳票として出力可能です。また、製造部員の検温や爪の長さ確認などの衛生管理情報を加えた入退出チェック情報や、QCD(Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期))に関する各種生産管理データも出力可能になっています。
Webサービス利用者が帳票出力依頼を行うと、「Waha! Transformer REST Serverオプション」を介したAPI連携によってリスクエストを受け取り、DB読み込み・書き込みオプションを経由してRDBと連携。最終的には「Spread Sheet Adapter for Excelオプション」によって必要な情報が記載されたExcel帳票を生成してWebサーバーからダウンロードできるようになります。他にも、Excelで作成された工程表や外部システム内にある出退勤データなどをWebサービスへ取り組む際にも「Waha! Transformer」が活用されており、現在は25ほどのジョブを作成・運用しています。
なお、本Webサービスは、粗利をキーにした付加価値生産性向上を実現するためのソリューションとなっており、同社では既に数%の粗利率改善を実現しています。「粗利という言葉が会議のなかでも多く出るようになるなど、会社全体で粗利が意識できるようになったのは大きい」と森本氏。また、複数のツールを組み合わせた以前のシステム構成と比べてデータ連携・Excel帳票出力を「Waha! Transformer」だけで処理できるため、開発メンテナンス性についても向上しています。「Webサービスの開発メンバーが増えると、開発環境のメンテナンスにも大きな手間がかかります。属人化が防げている点も大きなメリットです」と森本氏は評価します。
「Waha! Transformer」については、データ連携の処理が簡単に実装でき、手組みにはない利便性があると評価します。実は、パンの焼き具合や現場の清掃状況、入退出時の服装チェックなどの画像ファイルをExcelに貼り付けて出力していますが、Excelの呼び出しなどの際にも「Waha! Transformer」を重宝しています。「フリーのツールやライブラリでもExcelを加工することはできますが、マクロではファイル読み出しに失敗してしまう、ファイルそのものが破損してしまうなど、開発時には煩雑なことが多く発生しがちです。その意味では、既存のExcelファイルを安全に開く処理ひとつとっても開発工数の削減につながっています」と酒井氏。また、SQL文による設定ができたり外部のバッチ処理・スクリプトなども呼び出しやかったりと、いろいろなシーンで活用できる点も魅力の1つに挙げています。「ExcelのシートやDBのテーブル構造などがイメージできている方であれば、システム内のデータを連携させるだけでなく、データ結合などもシンプルに実現できます」と酒井氏は評価します。
ユニリタについては、技術だけでなく営業も一体となって継続的な支援が続いており、その関係性が構築できたことが大きいと語ります。「技術と営業が一体になっているため、Webサービスの構築が一段落している現段階でも定期的に連絡をいただけることで、いろいろな相談に乗っていただけています。今後Webサービスの拡販も含めて考えると、単に製品を購入して終わりではない関係性が構築できてとてもありがたい」と森本氏は力説します。また、サポートサイトへの問い合わせでも、レスポンスがよくすぐに回答が返ってくるため、サポートの面でも心強いと酒井氏。