現状は、取引先となる医薬品卸から毎日提供される実消化データを中間DBで受け、「Waha! Transformer」にて同社内で管理されている独自の各種マスター情報を付加したうえでデータの変換、結合などを行い、実消化DWHに取り込んでいます。MRは営業活動前にBIツールをはじめとした各種インターフェースから前日分の情報を全て閲覧できるようになっています。過年度の情報も全てDWHから閲覧可能になっており、MRが医療機関へ訪問する前に医療品卸の営業所に立ち寄って情報交換する際の基礎データとして活用しています。「実消化DWHの仕組みがうまく動いていないとMRからクレームが出てしまうため、非常にクリティカルな処理が求められます。投入するデータは年を追うごとに増えていますが、データ反映までの時間を遅らせるわけにはいきません。結果として刷新後も安定して稼働させることができています」と木村氏は現状について語ります。
新たな環境に刷新したことで、以前と同様の運用が維持できていることはもちろん、以前は運用と保守が異なっていたものの、現在は全てAJSに統一できており、運用保守の一本化で対応も迅速化され、コスト削減にもつながっています。「MRには変わったことを意識させることなく利用してもらっており、現場の混乱を招くことなく安定した形で移行することができました」と木村氏は高く評価しています。
今回のプロジェクトは、複数プロジェクトが同時並行で進められたこともあり、ETL部分の現行調査から設計、構築までユニリタ側にて行うなど、短期間でのプロジェクト完遂に向けてユニリタの全面的な支援を受けています。「決められた時間までに処理を行うべく、実際の構築やテストを何度も行いながらチューニングを実施し、当初想定した時間通りに処理が終わるように調整していただきました。こちらの要求に真摯に対応いただき、大変お世話になりました」と木村氏。プロジェクトを推進するうえでも過去の実績を活かしたことで、短期間でプロジェクトを成功に導いた功績を高く評価しています。「テンプレートがあったことで、どんな情報が必要なのかといったことを次々と引き出していただき、プロジェクトを強力に引っ張っていただくことができました。以前のフローを踏襲する前提だったため、処理速度の向上などお互いに苦労した面もありましたが、技術面でも過去の知見がフルに活かせたのは大きかった」と片見氏。
なお「Waha! Transformer」については、インターフェースが機能別に分けられているため操作方法が分かりやすく、同社独自のマニュアル作成などの支援もあって、以前の環境に比べて扱いやすくなっていると評価しています。「SagentはWeb上に情報が少なくて調べることが難しいところがありましたが、「Waha! Transformer」はWeb上で必要な情報も数多く出てきて探しやすい。何かあっても情報が見つけやすいのは安心感があります」と片見氏。